國語調査委員會の『送假名法』の刊行    (四の31)

  明治四十年三月、國語調査委員會編『迭假名法』(芳賀矢一擔當〕が刊行された。その「例言」において「規則ヲ以テ之ヲ律セントスレバ慣用二背キ、慣用二委スレバ亂雜際涯ナカラントス。一般ノ法文、教科用書等二於テ、少クトモ大體ノ統一ヲ有セシムベキハ国家ノ體面上ヨリイフモ必要ナリ」と「本法ヲ規定セル所以」を説明すると共に、「本法ハ現行普通文ヲ標準トシテ規定シタルモノニシテ書翰文、口語文ニハ之ニ準ジテ、多少ノ斟酌ヲ要スベシ」と述べてゐる。この送假名法は四綱領と十五の細則から成ってゐるが、その四綱領は「活用語ノ語尾變化ヲカキアラハスコト」「語ノ末ニ附屬スル助詞、助動詞ヲカキアラハスコト」「語ノ末二含マルル接尾語ヲカキアラハスコト」「漢字ヲ音讃スルモノハ漢字以外ヲカキアラハスコト」であり、細則の第六則には「漢字ノ二字以上ヲ以テ複合活用語二訓ジタル場合ニハ、ソレゾレ送假名ヲ附スベシ」とあり、「折り込ム、折レ込ム」の例を擧げてゐるが.「差出ス、引受ク」等の例外を認めてゐる。また第八則には「二音ノ副詞モシ、ヨシ、ヨク、カクノ四語、及ビ三音以上ノ副詞、接続詞二用ヰラレタル漢字ニハ、最後ノ一言ヲ送假名トシテ添フベシ」とあり、「若シ、倂シ、殆ド、自ラ」などの例を擧げてゐるが、「各、屢」「就中、使令」などを例外としてゐる。


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