きょうは令和六年四月一日、「新漢字・新仮名遣い」が内閣告示されて七十七年とちょっとです。
本会は、(良かれと思ってでしょうが)国語を改悪して学校教育で広めて定着させてしまった「新漢字・新仮名遣い」に長年反対してきました。本会のウェブサイトが原則としていわゆる「旧漢字・旧仮名遣い」――私達は「正漢字・正仮名遣い」とも呼びますが――で書いてきたのも、その為です。
しかし、自分自身や親や祖父母が「正漢字・正仮名遣い」で書いていて、或程度日常的に親しんできた世代も減っています。現代では祖父母でさえ「新漢字・新仮名遣い」で学校教育を受けた、という世代が多くなりました。「正漢字・正仮名遣い」は「歴史上の人物が書いた、他人事のような表記」になりつつあります。
このような状況の変化を受けて試作してみたのが、この頁です。「正漢字・正仮名遣い」による表記を愛してくださった方には申し訳ありませんが、政府がメンテナンスを中止し、国語学者の多くも「国語に正しいも正しくないもない、我々はただ観察するだけ」と言って傍観者の側につく。それでは「正漢字・正仮名遣い」のメンテナンスをするのは一体誰なのでしょうか。国民の大半がそれを諦めたのは、「先人達が長年育ててきた国語表記を、異国の侵入者ではなく、自らの手で滅ぼしてきた」事に他なりません。涙を流して諦めながら「正漢字・正仮名遣い」の「お葬式」を挙げましょう。今後どんどん増えていく(かも知れない)「新漢字・新仮名遣い」による頁にご期待ください。(押井徳馬)