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二-五 天野御民の「國語可學論」

 明󠄁治四年十一月󠄁、司法權大錄天野御民は『新聞雜誌』に「國語可學論」と題する假名文字採󠄁用論を發表した。その要󠄁點は左のやうなものである。

*日本ノ詞ノ國タル云ヲ待タズ、五洲萬國皆詞ヲ以テ宗トセザルハナシ、文字ノ如キハ只僅二假テ之ヲ傳フルノミ、獨「支那󠄁」專文字ヲ尊󠄁ビ、其字數ノ多キ幾千萬、其活用ノ博キ若干訓、其國人モ猶󠄁悉ク知ル能ハズ、何ゾ學ノ迂遠󠄁ナルヤ、「歐洲」諸國ノ如キハ然ラズ、原字僅ニ二十六、以テ種々ノ語ヲ通󠄁シ二三字合シテ一音󠄁トスル、至便ト謂ツベシ、然レドモ我邦五十韻ノ嚴正ニシテ文字語音󠄁相契ヒ、有餘不足ノ偏󠄁ナキ者ニ比スレバ、「支那󠄁」ハ固ヨリ多キニ過󠄁ギ、「歐洲」ハ猶󠄁少キニ誤󠄁リ、獨中正ノ至便ヲ得ル我邦文字二如ク者アラズ、

*獨日本已が至便ノ文字ヲ閣キテ「漢土」至難ノ文字ヲ學ビ、力ヲ無用ノ地ニ費ス多クシテ業ヲ實際ノ上ニ達󠄁スル甚希ナリ、是人ノ力メザルニハ非ズ方ノ立ザルニ由レバナリ、


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