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七-二十二 『國語シリーズ』の刊行

 文部省國語課は「國語の改革と國語敎育の振興に關する施策を普及󠄁徹底する」目的󠄁を以て、二十五年十二月󠄁より『國語シリーズ』の刊行を開始した。その主󠄁なものを擧げると、第七卷の『現代かなづかいの意󠄁義』、十二卷の『明󠄁治以後におけるかなづかい問題』、十三卷の『漢字と國語敎育』、十四、十九、二十六、二十九、三十三、三十七、四十四卷の『國語問題問答』、二十三卷の『ローマ字問題資󠄁料集』、三十卷の『國語敎育と國語問題』、三十二卷の『國語と國語敎育』、三十五卷の『現代かなづかいと正書法』などである。二十六卷に一例を採󠄁ると「舊字體ではまちがいでしょうか」といふ問に對して、舊字體でも間違󠄂ひではないが「次󠄁の時代には新字體のほうが一般に行われるはずですから、おとうさん・おかあさんも、なるべく新字體を使うようにしてください。新字體のほうがひじょうにやさしいのです」と答へてゐる。

 また二十六年十月󠄁二十三日の國語審議會第十二囘總會において、「公用文改善の趣旨徹底について」と「公用文の左橫書きについて」を議決し、前󠄁者は內閣總理大臣と文部大臣に、後者は內閣總理大臣に、各々建議してゐる。これは次󠄁官會義で了承され、二十七年四月󠄁四日、內閣官房󠄁長官から「公用文作成󠄁の要󠄁領」として各省に通󠄁達󠄁され、實行に移されてゐる。

 また二十六年七月󠄁五日、文部省令第十六號で「國語審議會の委員及󠄁び臨時委員の推薦方法に關する規定」が出され、以後の國語審議會委員及󠄁び臨時委員は、「委員のうちから互選󠄁した七人以上十五人以內の者で構󠄁成󠄁する」「推薦協議會が推薦する」と規定された。そのために、十年間も表音󠄁主󠄁義者が審議會の實權を握るといふやうな弊󠄁害󠄂を生じたわけである。

 更に二十七年四月󠄁十四日の國語審議會第十四囘總會において「これからの敬語」を議決し、五月󠄁文部大臣に建議してゐる。その「まえがき」には「これからの敬語は、これからの新しい時代の生活に卽した新しい作法の成󠄁長とともに、平󠄁明󠄁・簡素な新しい敬語法として健全󠄁な發達󠄁をとげることを望󠄂むしだいである。」とあり、一例を擧げれば、「人をさすことば」としては「わたし」と「あなた」を標準の形としてゐる。


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